少なくとも、最初から答えが決まってるくらいには、私達は仲が良い。
私はそろそろ、しびれを切らしていた。


「…だから、あのね」

「危ない!」


強く腕を引っ張られる。
当然だけど私は整形手術を受けている訳ではないので、整合痕が開いて血が噴き出す……なんて事は無かった。

さすがにガードレールの上でバランスを取る事は出来なくて、歩道側に落下しそうになったところを、腕を引っ張った張本人が支えてくれる。
すぐ後に、背後を車が通り過ぎた。


「大丈夫?」

「…何とか。急に引っ張らないでよ!」

「ごめんごめん」


心配そうに顔を覗き込まれたから、告白された事も手伝って、凄く照れくさい。
顔が近い近い!


「……あの」

「何?」

「…………宜しくお願いします」

「何が?」


そこまで言わせるつもりかっ!
照れくささに拍車がかかる。
意地悪なんだか、鈍感なんだか。


「…だから、あのっ」

「ごめんごめん、分かってるよ。こちらこそ宜しくね」


……ただの意地悪か。
彼は悪戯そうに笑って右手を差し出して、私はそれを握ると同時に引っ張って、勢いで彼の頬にキスした。





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