でも、とりあえずは妹は、事前に私に報告してるから、殺される事は無い。
その分、他の誰かが殺されるって証拠で、安心して良いのかどうかも分かんないけど。

何で、こんな罰が存在してるのかは、よく分からない。
誰にとっての損得も無い。恐怖心を植え付けるだけ。
親や家族から"遺伝"として貰った身体に、許可無く傷を付けるから?
事前に許可を貰ってれば良いって事?


理解不能な事実に疑問を感じながら、あまりにも同じ顔だらけの光景に吐き気を覚えながら、妹を促して教室に戻る。
授業に遅刻してるにも関わらず、教室に入った時に、特にお咎めも無かった事に驚いた。



――本当に、恐怖心を植え付ける事だけが目的だと思ってた。
誰も損得無い。せいぜい、事前にしっかり相談させる為だけ。
むしろ、これから整形手術を受けようとする、家族に相談してない人への見せしめの為だけとか。
だから、担当者が最後に言ってた言葉も、本当はただの脅し文句だと思った。思いたかった。


……だから、帰り際に、階段の陰をうっかり覗き込んでしまった時は、驚きすぎて息が止まると思った。

そこには、一人の女子生徒が、脳を撃ち抜かれて、血を撒き散らして、倒れていた。
近くに、使用済みの薬莢が転がっていた。

人を殺す事も法律違反なら、その凶器も法に触れている。
何処までも法律違反が許されるというなら、逆に整形手術は法律違反なの?

気付けば、鉄臭い臭いが漂っていた。





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