「……物を、勝手に変えるな!」


そう言う叫びだけが聞こえて、私はまた耳を澄ます。
叫んでいるのはやっぱり父さんで、その拳は妹の顔へ。


「親から受け継いだ体を、勝手に変えるな!」


父さんの叫び声が、ようやく聞き取れた。
妹は抵抗する事もなく、血を流しながら、父さんの拳を甘んじて受け入れている。


そこでようやく私は、妹の隣りに座った女子の腕が下されていて、その手先が床付近で蠢いてる事に気付いた。
彼女は、自分のスカートを捲り上げて、下着に手を突っ込んでいた。
その流行りの顔は、みるみるうちに紅潮してくる。

嘘でしょ……? まさか、そんな……。
彼女が妹とどんな関係かは知らないけど、赤の他人が殴り合いの親子喧嘩をしているすぐ横で、自分は自慰行為をしてるなんて。
しかも目の前に、他人の父親がいるというのに、彼女は何を考えてる?

何処かを切ったのかもしれない。
彼女の座る床には、少しずつ血が広がっていった。



目の前に、悪夢が広がっている気がした。

父さんは、妹が整形手術した事について、怒ってる。
「親から受け継いだ体を、勝手に変えるな」と叫び、妹を殴る。
手術の痕が完治してない妹は、傷痕が開き、血が流れている。





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