兄貴がミカエルになるとき


席は名前のアイウエオ順で、「キサラ」の私と「木下」の幸っちゃんは前後で座ることになった。

そこまではよかったが、その2列左側の席にリカコが座っていて、やたら作り笑顔を振りまいている。

まさかクラスまで一緒だなんて………。

さっきまでなんとか持ちこたえていた幸福感が、校庭に咲く桜の花びらと共にはらりはらりと散っていくようだった。

「咲季ちゃん、大丈夫?」

力なくうなだれる私の肩に、幸っちゃんが手をかける。

「いや、かなり大丈夫じゃないかも」

私はしょげながらも、とにかく高校生初日ぐらいは穏やかに過ごそうと、気持ちを奮い立たせた。