兄貴がミカエルになるとき

「そうだよ。今、僕が悩みに悩んでドツボにはまっているシェリルの広告イメージが、おかげでどーんと湧いてきた」

「あら、じゃあ日本まで来た甲斐があったじゃない。よかったわ、一件落着ね」

まるで自分の手柄のようにママがふふっと微笑んで、「でも、だとすると……」と、トオ兄だけがその成り行きを予見して、戸惑いを見せていた。

「ということだから、サキはオーディションを受けてくれ」

ということだからって、どういうこと? 
オーディションて何?

ボーっと立っていただけのわずか7分程度の間に、自分が話の中心になっていることはなんとか理解できたが、話の展開にはまったく追いつけていなかった。

「まさか、シェリルのオーディションとか言わないわよね……」

ようやくママも話が見えてきたようだ。

「そうだよ。アキ、君がサジェストしたんだよ」