兄貴がミカエルになるとき

なんでわざわざニューヨークから国際電話してくるのかママに尋ねたら、「知らないわよ。昔から何でもかんでも人に聞いてもらう癖が抜けてないのね」ということで、ますます私のなかでの元彼説は濃くなった。

そんなリチャードからの電話攻撃にママはうんざりし、「もう電話で話すの飽きちゃったから、桜の花でも見に日本に来たら? そしたらゆっくり話を聞いてあげる。だからもう電話はしないでね」と、適当なことを言って電話を切ってしまった。

それから3日間、リチャードからの電話は止まった。

しかし、さすがに懲りたかとママがほくそ笑んだ4日目の朝に、突然「サプラーイズ」と、リチャードが家に現れた。

「うそ! 本当に来たの?」