「その代わり」
トオ兄が言葉を続けた。
「咲季が高校を卒業したら、俺は必ずお前を捕まえに行く。来年、アメリカの大学院に行く、お前の心も連れて。言ったよな、覚悟しとけって。そのためにさっきまじないをかけておいた。どこに飛んでいっても咲季が必ず俺のもとに戻ってくるように」
ママの呪文の次はトオ兄のまじないか。
そのどちらも強力で、私の心臓はどんどん赤く染まっていくようだ。
私は想像してみる。
自分のこととは思えない蝶の姿を。
一羽の蝶がひらりひらりと羽を揺らせて飛んでいくさまを。
甘い甘い蜜に誘われ花と戯れながらも、あるとき花から飛び立って、うっとりと羽を休めるために、長く美しい指の中へと舞い戻っていく蝶々。
いやいや、私が蝶であるわけがない。
頭を振って、蝶を一反木綿に変えてみる。ふわふわと浮遊する、一反木綿。自虐的だが、自分のイメージとしてはしっくりとする。
トオ兄が言葉を続けた。
「咲季が高校を卒業したら、俺は必ずお前を捕まえに行く。来年、アメリカの大学院に行く、お前の心も連れて。言ったよな、覚悟しとけって。そのためにさっきまじないをかけておいた。どこに飛んでいっても咲季が必ず俺のもとに戻ってくるように」
ママの呪文の次はトオ兄のまじないか。
そのどちらも強力で、私の心臓はどんどん赤く染まっていくようだ。
私は想像してみる。
自分のこととは思えない蝶の姿を。
一羽の蝶がひらりひらりと羽を揺らせて飛んでいくさまを。
甘い甘い蜜に誘われ花と戯れながらも、あるとき花から飛び立って、うっとりと羽を休めるために、長く美しい指の中へと舞い戻っていく蝶々。
いやいや、私が蝶であるわけがない。
頭を振って、蝶を一反木綿に変えてみる。ふわふわと浮遊する、一反木綿。自虐的だが、自分のイメージとしてはしっくりとする。


