8時を過ぎると紅白歌合戦鑑賞にも飽きてきて、トオ兄と私はコンビニでも行こうと外に出た。

玄関を出たとたん、冷たい風がビューと頬をなぶる。

大晦日の住宅街ということもあり、通りに人の姿は見当たらない。

代わりに、家から灯る明かりがあちこちから漏れて、静まり返った夜道を照らしている。

皆、新しい年を心待ちに、残りの時間を家族で過ごしているのだろう。

風が雲をさらい、空が澄んで星がチカチカと光っている。

墨色の空に控えめに輝く東京の星たち。体にキンキンと響くように空気が冷たい。

「さっぶいね」

「俺たち体がでかいから、その分、風に当たる領域が広いしな……で、なんでお前はセーターだけで出てくるんだ」

体を丸めて歩く私を左斜め上から見据えてトオ兄が眉をひそめる。