「考えておくわ」

「えーー! 言いたかないけど、結構私、稼いでない?」

「言いたかないなら言わないでよ。あなたのギャラはちゃんと積み立てているから大丈夫。いつかあげるから」

いつかっていつ? 漠然としすぎていて、貰える日が来るとは思えない。

「この際、いつかもらえるギャラはいいから、来年のお小遣いをアップして」

「だから考えておくわ」

「僕のギャラアップも」

「トオルのギャラは家族割だから」

「そんな割引いらないよ……」

おせちと一緒に幸ちゃんのママから頂いたという、とっておきの日本酒を飲み、気持ちはすっかり緩んでいるはずなのに、今年は手ごわい。

交渉は来年に持ち越しとなる。