兄貴がミカエルになるとき

ちょうど車が渋滞する時間に差し掛かり、車の進み方がのたのたしてきたが、トオ兄は裏道をするすると器用に抜けて走り続けた。

それから少しの間、トオ兄も私も黙ったままだった。

別に理由があったわけではなく、トオ兄が運転に集中していたからだ。

信号が赤になった。

白線の前で車を止めて、赤色のライトを20秒ほど見つめ続けていたトオ兄が「で、なんて答えたんだ?」と聞いてきた。

なんと答えたのか、と唐突に聞かれても、何に対してのことなのか分らなかった。

私は隣にいるトオ兄を見た。多分、少しぽかんとした顔で。