兄貴がミカエルになるとき

「東大」

三品君の瞼が少し上がった。

「学部は?」

「理三」

今度は右手に持っていたカップをテーブルに下ろして「お兄さん、頭いいんだね」と、ようやく素直に感心した。

「そうだね。いつも犬と家でゴロゴロしてるわりには、何でもよくできる」

「もしかして君のお兄さん、天才?」

「かもしれない」

「僕、自分もかなり優秀だと思っていたけど、季咲良さんのお兄さんには驚き。すごいな」

少し興奮して前のめりになって話す三品君を見ながら、優秀で自信家でちょっと傲慢。

だけど素直なところが彼の魅力か、と分析してみた。

トオ兄と似ているようで全然違う。

トオ兄は優秀で自己中だけど、他人のことはどうでもよくて、さらに言えば自分が優秀であることにも関心なくて、ただただ、自分の好きなことをやっているだけみたいな浮遊感がある。

三品君のように、自分の力と相手の力を比べることはない。