兄貴がミカエルになるとき

『ハーバード』にフックして、三品君の表情が変わった。

きっと「彼女の兄貴はハーバードを目指すくらい頭がいいのか、それともハーバードに行きたかっただけなのか」と考えを逡巡させているに違いない。

そして多分、「行く気だった」という過去形だということは、行けなかった→つまりTOEFLも大した点数を取れず、行きたかったけど行けなかったんだろうと計算したのだろう。

驚きの顔から余裕を取り戻し、すぐににっこりといたわるような笑みを浮かべた。

「よかったら参考に教えて。お兄さんの最初のスコアは何点だった?」

ウズウズする気持ちを抑え、何気なく答える。

「最初のっていうか、1回しか受けてないけど。確か118点だったかな」

思い描いていた方程式がくずれてしまった三品君は、目をパチパチさせて再び驚きをまず顔で表してから(わかりやすい人だ)、「すっげぇ」と声を漏らした。