兄貴がミカエルになるとき

二時半ちょうどにサンマルクに着いた。カフェオレを買って2階席に上がると、三品君はすでに2人席に座って本を読んでいた。

「待たせちゃった?」

正面に座った。

三品君は本から目を上げて私を見ると、「よかった、来てくれて。同じ高校なのに、なんか近くて遠いから」と、本をテーブルの隅に置いて笑った。

「なんの本?」

「あ、これTOEFLの参考書。君ともっと仲良くなれたらアメリカの学校に行こうかと思って勉強してるんだ」

私と仲良くなったらアメリカの大学に行く? 

私と彼のアメリカ行きの話がどこで交わるのだろう。

「私と、三品君がアメリカの大学に行くことと何か関係がある?」

「だって僕が今の高校生活で興味があるのは君だけだから、まずは君と仲の良い友達になって、あ、それ以上の展開があればそれでもいいけど。君と仲良くなるには同じ高校に通っている今が最適だから最優先事項。仲良くなれたらどこにいようと交流できるでしょ。で、そのあとアメリカの大学に行く。文化や歴史の異なる世界で学ぶ方がいろんな考え方や物の見方に気付くと思うし、刺激的だからね」

ますます意味がわからない。