「その子さあ、ヴォーグのコネで入場したみたいだってIMEは言ってたじゃない?」

ギーコ、ギーコ。

まるで木馬に乗ってはしゃぐ幼児のようにリチャードがロッキングチェアを揺らし続ける。

「違うの?」

「違うみたいだよ」

「え?」

ティムさんと私、そしてトオ兄も顔を上げ、3人一斉にリチャードの顔を見た。

ギーコ、ギーコ。

その様子に満足気なリチャードは、フフフと笑って、ますます椅子に弾みをつける。

「勿体つけないで早くその先をいいなさいよ」

イラつきながらティムさんがリチャードを睨む。

「気になったからもう少し調べてみたんだけどさ、結局ヴォーグのコネでも無理だったからスタッフで紛れ込んだらしい」

「スタッフ?」と、トオ兄。

「何の?」と、ティムさん。

ぴったりハモった。

私はなんだか背中がざわっとした。