兄貴がミカエルになるとき

「スプーンがない」

だから? と突っ込みたくなったが素直に立ち上がり、キッチンにスプーンを取りに行った。

夕飯の下ごしらえをしていたママが「トオルったら、その男の子に焼いているのね」と嬉しそうに言いながら、引出しからスプーンを2本出して渡してくれた。

ずっと様子を伺っていたらしい。

「パパよりうるさい」

「そりゃあ、そうよ。トオルにとって大事な、大事な、大好きな妹ですもの」

「それとも…」…とママが続けた言葉に、私の心が少しゆらめいた。

「もしかしたら、妹以上なのかしら」