兄貴がミカエルになるとき

「突然だったからどうしようもなかったんだよ」

「で、どういうことだ。そいつと何をしたんだ」

表情がないのはトオ兄が怒っている証拠で、私が最も苦手とする顔だ。整った顔が制止すると冷たさが倍増する。

でも私は別に何も悪いことをしたわけじゃない。

トオ兄に怒られる筋合いもないのだからビビる必要もない、と自分に言い聞かせる。

「何もしてないよ。友達になろうって言われただけ」

「それだけのことでなんでお前を連れ去る?」

「幸っちゃんや美奈ちゃんがいたから、とっさに2人で話せる場所に連れて行こうとしたらしい」

「そいつ、しつこいな。まだお前をシャイラだと疑っているのか」

「ううん、今は純粋に友達になりたいって」

その返事に、トオ兄の右眉があがる。

「なぜ?」