兄貴がミカエルになるとき

車の前に銀色のきれいな動物の飾りがくっついているいかにも高級そうな車だ。

三品君に促され、その車の後部席に乗り込んだ。

「最初に駅まで行って」と、三品君が運転席に声をかけると、車は静かに滑り出した。

うちの家族はトオ兄とママはわかるが普段温和なパパまで運転が荒いので、その滑らかな走り出しに感激した。

「ねえさっきの本、見せてくれる?」

「いいよ」

三品君がカバンから取り出した2冊の本はどちらも知っている。

「これが~」も「蝦蟇の油」も、トオ兄から借りて春休みに読んでいた。

蝦蟇の油はもう古本屋でしか手に入れることができないし、「これが~」はトオ兄おすすめの1冊だけど、10代に受けるようなノンフィクションじゃないだろう。

私の他にも読んでいる高校性がいるとは思わなかった。

もしや幸ちゃんが私の情報を流しているんじゃなかろうか、と思うほど、奇妙に読んでいる本が被っている。

不思議な思いで2冊の本を手にとって見ていると、「面白そうでしょ」と、三品君が得意げに隣から顔を突き出してきた。