兄貴がミカエルになるとき

複雑だった。

実際にはその特別なオーラを放っていたシャイラは私なのだけど、オーラがないから私はシャイラじゃないと断言されている。

いつか幸っちゃんから、「そんなにオーラを消せるって才能だよね」と感心されたことを思い出す。

それにしてもオーラって消せるものなんだ、それも無意識に。

「ねえ、いい加減この手を握り返してくれないかな」

さっきから差し出されたままの手は、所在投げに空中に浮いていた。

その手に自分の手を伸ばしかけたところで携帯電話が鳴った。

私は「ごめん」と言ってカバンから携帯を出し、三品君はとうとうその手を下ろした。

「もしもし」、とも言わないうちにトオ兄の「今、どこだ?」という声が響いた。

きっとトオ兄から私のガード役を仰せつかっている幸っちゃんが連絡したのだろう。