兄貴がミカエルになるとき

頬に当たる風がいつもより強く、視界を通り過ぎていく景色がいつもより早く流れていった。

トオ兄以外の男の人と手を繋いで走るのは初めてで、その手の感触にとまどった。

数回角を曲がって小さな児童公園にたどり着き、ようやく三品君は止まって私の手を放した。

「ごめん」

息をきらしながら三品君が謝る。

「何なの? もう近づかないで、って頼んだよね」

「違うんだ」

「何が違うの?」

両手をズボンのポケットに突っ込み、三品君はうつむいた。

私は彼の言葉の続きを待った。

「本当は君がシャイラかどうかなんて、どうでもよかった。ただ、ずっと君と話してみたかった」
「ずっと?」