兄貴がミカエルになるとき

ティムさんがくりんとしたまあるい目を大きく見開いて、びっくり度を強調する。

「今から十八年前、君のママは一世を風靡しながらあっという間にその舞台から飛び去った伝説のモデル。
別に彼女自身がモデルになりたかったわけじゃなくて、成り行きでそうなっただけだけど。で、そのきっかけを作ったのが僕ね。こんな重要な僕とアキとのストーリーを全然聞いてないなんてがっかりだ」

そう言って、いかにも残念という顔をした。

アメリカ人の人ってどうしてこんなに上手に心情を顔で表現できるのかと、感心する。

怖いとか悲しいとか嬉しいとか寂しいとか、少し憂鬱とか、はっきりしているものから微妙なものまで、言葉と一緒に表情を変えてみせる。

眉を上げたり下げたり、口をすぼめたり結んでみたり。

目を細め、見開き、笑い、睨み、顔のパーツを自由に動かし、組み合わせて、感情にマッチした顔をする。

筋肉を自在に操るその技はすごい。

どこに力を入れたらこれほど豊かな表情を動かすことができるのだろう。