兄貴がミカエルになるとき

「お兄ちゃんも幸ちゃんも、どうしたの?」

「かっこいい車を借りたからモンモンと一緒に迎えにいってやったんだよ。そしたらお前がさっきの男子生徒と一緒にいたから通り過ぎたんだ。あいつ、ニューヨークのショーで見かけたから俺の顔を覚えているんじゃないかと思ってさ」

「私は途中で拾ってもらったの。この車、ランボルギーニよ。そういえば、トオルさん、これどうしたの?」

さすが基本は男子なので、車に詳しい。

「パパの車を車検に出したらその代車として、この車を一週間借りてきた」

「おじさんの車って確かトヨタのワゴン車だよね。なんでその代車がランボルギーニなの? それもこれ、アヴェタンドールだよね」

「よくわかったな。車屋にこれがあったから試しにこれに乗りたいっていったらあっさり、OKが出た」

ニヤッと幸ちゃんが笑った。その顔は幸ちゃんというより、幸男の顔に戻っていた。

「担当者、女性でしょ」

「いや、男性だ」

「そうか、トオルさんは男もころりとだますのね」

「人聞きが悪い。騙してなんていない。ただ、乗りたいって言っただけだ」

「きゃー、やめてー。トオルさんたらそんなこと言わないで」

「アホか、お前は」