兄貴がミカエルになるとき

「一緒だね、シャイラのサイズと」

ゆったりと微笑んでいる三品君の正面で、私は口を半開きにしたまま固まった。

ブーブーブーブー、ブーブーブーブ。

そのときカバンの中で、携帯がバイブし鈍い音を鳴らし始めた。

我に返り、慌ててカバンの中の携帯を取り出す。

表示がトオ兄なのを確認してから通話ボタンをプッシュする。

「おれだ。お前と今話している男子はこの間のショーにいた。とりあえず余計なことは何も話すな、うろたえるな。といってもお前はすぐにうろたえて余計なことを話すから、すぐに『ごきげんよう』といって、そいつと別れろ。駅で……」

この子がNYでのシェリルのショーを見に来ていた?
あんなリミテッドなショーに? 

びっくりしたのでうっかりトオ兄の声が聞こえているうちに通話を切ってしまった。

顔を上げてまだ笑を浮かべている三品君を改めて見た。

状況が把握できなかったけど、とりあえずトオ兄に言われたとおり、「三品君、ごきげんよう!」と言い捨て、慌てて駅に向かって走りだした。

眼鏡が鼻の上で上下に揺れた。

邪魔なので左手でもぎ取とりジャケットのポケットに突っ込んだ。