ハワイから日本に戻ると、夏休みは残すところあと2週間になっていた。

気分的には夏休みが終わりに近づくにつれ夏も終熄に近づく気がするが、実際には日本を発つ前よりも一層蒸し暑さは増していて、夏はまだ大盛況だった。

ハワイの乾いた気候から一転し、毛穴をすべてふさいでしまうかのように湿気を帯びた強烈な熱気が体を包む。

日本は確実に熱帯化している、と思う。

こうしてエアコンがかかっているはずのリビングにいても、やたら暑い。

とても暑い………。

体が熱くて熱くて……と、そこで意識が途切れた。

気付いたときには自分の部屋のベッドに寝ていて、左に首を傾けると、トオ兄が私の顔を覗きこんでいた。

「気付いたか」

私の額に手をあて、「だいぶ下がったみたいだな」と確認している。

いつものひんやりしたトオ兄の手が気持ちいい。

「なんで寝てるの、私?」

「熱出してソファで伸びてたんだよ。医者に聞いたら疲労だろうって。なんで意識が飛ぶまで気付かない? まったくとんまだ。きっと熱でさらにとんまになったぞ。今日はちゃんと寝てろ。なんか欲しいものがあれば言え。今日だけは親切でスウィートなマネージャーになってやる」