兄貴がミカエルになるとき

夕方は、ホテルのプールでベタにブルーハワイかなんかをガンガン飲みながら読書と昼寝を貪っていたらしいママと合流し、そのままホテルのレストランで夕食をとった。

「で、どうだった? 保護者付きのサーフデートは?」

白ワインのグラスを口に運びながら、ママがねっとりとした笑顔を私に向けた。

どうでもいいけど、ママはハワイに来てからというものずっとバケーション気分に浸って飲みっぱなしだ。

「別にデートじゃないもん。サーフィンなんてできないのにトオ兄が勝手に約束しただけだよ」

「お前そりゃないだろう。あんなにときめきを顔に露骨に出しておきながら」

自分の顔に血が上って行くのがわかる。

「ダーリンてそんなにかっこいいの? トオルよりいい男なんているのかしら」

ママはいつでも息子を持ち上げる。

「確かに爽やかでキュートガイなんだよ。咲季がぐぐっとくるのもムリないほど」

「ふうん。何でトオルはわざわざそんなセッティングしたの? 挑戦? 確認?」

トオ兄が驚いたようにママを見る。

その視線をまっすぐに受けとめながら、ママは無言でその答えを探っているようだ。