兄貴がミカエルになるとき

先ほどの女優志望かもしれない可愛いウエイトレスさんが、オーダーを運んできてくれた。本当に見とれるほどきれいだし、感じもいい。

トオ兄はカシスのシャーベットをすぐに口に運んで「咲季と俺は、本当の兄妹じゃないよ」と、いきなり核心に触れた。

まだ何も聞いていないのに。

アルバムを見た時からずっと体の奥にぶら下がっていた小さな錘が、みぞおちあたりにすとんと落ちた。

ブラブラと揺れ続ける心地悪さは解消したけど、その代わりに悲しいのかショックなのか、それほどでもないのか、なんだかよくわからない、なんとも言えない気分が広がって、ただ「そっか」とだけ応えるのが精一杯だった。

どうする必要もないのだけど、どうしていいのかわからなかった。

血が繋がっていなくても、別に何かが変わるわけではない。トオ兄は私のお兄ちゃんだ。

私が生まれてからずっとそうだったように。

「食べる?」

だまったまま頬杖をついて考え込んでいると、トオ兄がシャーベットを乗せたスプーンを差し出してきた。

素直に口に含むと、甘酸っぱい冷たさが舌の上に広がった。