兄貴がミカエルになるとき

「で? トオル君がどうしたの?」

「トオ兄は、私とトオ兄は本当の兄妹なのかなって」

ふん、と明美さんはもう一度鼻から息を吐いた。

「なんであたしに聞くの? ママか本人に聞けばいいじゃない。他人に聞くことじゃないでしょ」

「なんだか直接は聞きづらくて。ママに聞くのもパパに聞くのもトオ兄にも、聞いたらみんな困ちゃいそうだから」

そこで今度はピンポーンと部屋のベルが鳴った。

私が動く前に明美さんがドアを開けると、トオ兄が顔をのぞかせた。

「まさに今、その話の真っ最中よ。でも私はまだ何も話してないから、あとは2人でどうぞ」

明美さんはバッグを持って、今度こそ部屋を出ていった。

「さっき明美さんに電話したのはトオ兄?」

「当たり」

まったくトオ兄はカンがいい。いつだって私が考えていることや動きを怖いほど見抜いてしまうのだ。

「なんでわかったの?」

「そりゃ、わかるよ。俺が送るというのを断ってわざわざ明美さんを呼び出すなんて、何かあると思うだろ。それに咲季がアルバムを見ていたのも、それからずっと考え込んでいるのも知ってたし。いつか聞いてくるだろうとは思っていたけど、明美さんに聞くなんていう遠回りをするとは思わなかった」