「由美子さん、相変わらず忙しないね」、とトオ兄に小さく囁いたつもりだったが、トオ兄よりも

早く由美子さんの返事が戻ってきた。

「聞こえたわよ。この年になると残された時間が少ないんだから忙しくもなるのよ。あんたも40過ぎたらわかるわよ」

由美子さんの残された時間が少ないようには到底思えないけど、と思ったところにリチャードが「君は大丈夫。きっと百五十歳まで生きるよ」と言い、そこにママが「そうねえ、百五十はきついけど、百十歳までは生きるわよ」とかぶせ、「ということは、私ったらまだ六十年以上生きちゃうわけ? やだ、結構先が長いじゃない」と、自分で突っ込む。いずれにせよ、やかましい人たちだ。