兄貴がミカエルになるとき

ホテルに4時過ぎに戻った私とトオ兄は、夕食に出る午後6時半まで、一旦それぞれの部屋に戻った。
部屋はエアコンが軽くきいていて、少しだけひんやりした空気が気持ち良く、ベッドの上に腰掛けると急に睡魔が襲ってきた。
時間はまだある。ちょっとだけ寝てしまおうと、そのままごろんと横になって目を閉じた。

ビー、ビー、ビー、ビーという音がどこかから聞こえてくる。
何の音だろう?と、半睡眠状態でうつらうつら考える。

ビー、ビー、ビー、ビー、ビー、ビー。

何の音か解明できないうちにその音が止み、その後すぐに部屋のドアがどんどん叩かれた。

「あ!」

慌ててベッドから飛び降りドアを開けると、トオ兄が立っていた。

「やっぱりな。寝るんじゃないかと思ってたんだよ」
「もしかして、電話してくれた?」
「したさ。いくら呼び出しても出ないから出向いてやったんだ。あと30分ある。早く準備しろ」

さすが、トオ兄だ。私の行動をよく分かっている。
それからバタバタとシャワーを浴びて髪を乾かし、持ってきた七分袖のジャージのワンピースをすとんとかぶった。
化粧はしないので、準備はこれで完了。
店内はどこも冷房がきつい。予備に薄手の綿のカーディガンを持ってロビーに向かった。