兄貴がミカエルになるとき

小さな湖や池を望みながらセントラルパークをゆっくりジョギングし、途中でボートハウス内にあるカフェに立ち寄った。
公園内の湖に面しているこのカフェは、トオ兄のお気に入りの場所だ。

濃い緑の木々に囲まれた湖はモスグリーンの水を湛え、その上をボートがゆるりと行き交っている。

大都会の真ん中なのに、まるで避暑地のように開放的な雰囲気がたまらなく好きなのだという。

売店で私はオレンジジュース、トオ兄はビールを買って空いている席をチェックしていると、急にカシャカシャっというシャッター音が響いた。

まさかパパラッチ? と焦ったが、モデルになったとはいえこんなところでパパラッチされるほど話題性があるとは思えない。

それでも不安になって、隣に並ぶトオ兄の腕を掴んだ。

カシャ、カシャ、カシャ、カシャカシャカシャ

トオ兄も緊張した顔でシャッター音がする方向を探る。

その音の出所を探り当て、一瞬睨んだかと思ったが、すぐに「なあんだ」と笑って緊張を解いた。