兄貴がミカエルになるとき

「吉報がある。俺も1センチ背が伸びた。だから俺たちの身長差は11センチ。一緒にいればちょうどぴったり、ナイスカップルだ」

「よかった。デカデカ兄妹で」
と、返したものの、トオ兄が本当の兄でないかもしれないと考えている今は、その言葉に少しドキドキしてしまう。

たとえ血が繋がっていなくても、昨日のトオ兄と今日のトオ兄が変わるわけではない。

だけど血が繋がっていないということは、つまり、普通の男女だということだ。

今まで本当の兄妹だと思っていたから何も感じなかったけど、トオ兄は相当男前だ。

彫りの深い、けれど決してくどくない端正な顔立ち。

スタイルも抜群で、モデルやタレント事務所からのスカウトはしょっちゅうだし、実際トオ兄と一緒に仕事場に行くと、たいていの人はトオ兄がモデルだと思い込み、モデルは私でトオ兄はマネージャーだというと、100%冗談だと笑われる。

こんな男が身近にいても何も思わなかったのは、兄貴だったからに違いない。

でもこれが普通の異性だと認識したら私の気持ちも変わっていって、もしや好きになっていくことだって………いや、ありえない。

絶対にありえない。

私はまた頭を軽く振って空想を振り払った。