兄貴がミカエルになるとき

最初はモデルなんてやる気はなかった。

洋服を着てみせるなんて、デパートに立っているマネキンみたいで嫌だな、と内心思ったりもした。でも実際は洋服を着るのではなく、洋服が持っている世界を表現するのだ。

洋服がいきいきと呼吸するように。

私は洋服が語る世界をイメージし、表現する。

それは私にとってとても面白い作業で、もしかしたらモデルとして立っている自分が最も自由な自分なのかもしれないと、今では考えている。

「背を伸ばしていられる場所ができてよかったな」

モンモンの首を揉むように、私の首の後ろを長い指でキュっキュとつまみ、「それと――」と笑ってトオ兄は話を続けた。