兄貴がミカエルになるとき

ウォーキングのカリスマトレーナーのティムさんに会った瞬間、ののしられた理由は、姿勢の悪さだ。

少しでも身長を低く見せたくて、つい猫背になってしまうでかい女子の憂鬱と努力など、いつもモデルに囲まれているティムさんにはわかりっこない。

「肩は開いて後ろに反らすのよ。なんで前に屈むのよ、馬鹿! おたんこなす!ろくでなし!」

ティムさんの罵倒が脳裏に蘇り、私は頭をブンブン振ってその声を振り払う。

「日本の平均身長から20センチ高いだけで特殊扱いされる世界はたしかに窮屈だな。でも、だからモデルになれたんだからいいじゃないか。巨人の地味な女子学生は仮の姿、本当はスーパーガール。うん、漫画のネタになりそうだ」

スーパーモデルならわかるけど、スーパーガール? と思ったけど、まあそんなことはどうでもいい。

慰めようとしてくれているのはわかる。

「まあね、自分の意思じゃなかったけど」