学校を出て10分。
ついに西田が口を開いた。




「藤原くんって兄弟とかおるん?」




「え?ああ、弟が二人おるよ」




そう、俺には2つ年下の弟、「勇気(ゆうき)」と
8つ年下の弟、「浩太(こうた)」がいる。




「なら長男なんやねー。私は2つ上のお姉ちゃんがおるんよー」




「そうなん?ってことは5年生なんだ」




「うん。ほんでね、うちのお姉ちゃん結構変わっとってね、足のつま先で座布団回せるんよ」




「え?何それ?」




「こう、足のつま先に座布団乗せてね、こんな感じで・・・」




それから他愛もない会話が続いた。




西田は自分の話をした。
絵を描くことが好きなこと、剣道を習っていること、食べるスピードはお姉さんの方が早いこと、
最近、家をリフォームしたこと、犬を飼っていること・・・




俺はそれに対して
サッカーを習っていること、転校前の学校での話、
母さんの卵焼きが好きなこと・・・




本当に他愛もなかったが、西田と話していると
何だか素でいられるような気がして
心地よかった。




だが、琴吹の家に着いたとわかると、俺は緊張した。




今日は琴吹に謝るために来たんだ。