「まー、いいや。おくってくよ」
「…いや、いいよ。全然方向違うし」
ホントに袴田君の家とはかなり方向が違う。
だから、そんなわざわざ送ってもらわなくても…
私はそんなに酔ってないつもりだし。
それに送ってもらう理由なんてないし。
彼女でもないのにさ。
…彼女ねー
「いいからさ、送らせて。俺、車だし」
「飲んでないの?」
「飲んでない」
「でも、私死にたくない」
「…随分ひどいこというよな。俺、毎日運転してるんだけどなー」
…実際、同級生の車に乗るのは結城がいると思う。
私だって、運転をするけど。とても、同級生を乗せようとは思わない。
…だって、殺しそうだし。
…それはいかんか。
「…ということで、私は電車で帰ります。」
さようならと言って、私は駅の方に歩き出す。
…つもりでした。
私は歩き出したんです。
そのつもりでした

