やさしい悪魔




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ガーゼと消毒液の匂い。

少しだけ気を張らないと、ウッとなる匂いだ。

あたしはこういう保健室の匂いは嫌いじゃないよ。

嫌い……じゃ、



「ない!!」

「……やっと起きたか、バカミチ」



目をこすりながらあたしは辺りを見回す。



「あれ?あたし……」

「あんた、貧血気味だったらしいよ。今先生でてっちゃったけどだいぶ寝てたよ」



窓から夕陽が差し込んでいた。

あぁ、もう、そんな時間なんだ。


起きた体をもう一度布団に預け、深呼吸してをアキに「ありがとう」と礼を言った。


「なんか痩せたんじゃない?考えごとのしすぎじゃないの。あたし、これからバイトだから一緒にいてあげられないけど、気をつけて早めに帰るんだよ?」


早口でアキはまくしたてた。