錦のおじい様の声と鞭の音だけ聞こえる。
「御当主様は、私達の鏡です」
瑞貴は答える。
なぜなら嵐は叫び声一つあげないのだ。
「僕達は幼少の頃から様々な拷問の訓練を受けさせられてるからね」
凛はこんな状況でも笑っている。
内心、心配に違いないのだ。でも2人に安心させる為に笑ったのだ。
(瑠璃は、瑠璃とお腹の子は大丈夫だろうか...)
そこで一つの疑問が浮かんだ。
「斎藤、間者がいますね」
「はい。私も今考えていました」
「たぶん瑠璃の診察をした女医でしょう」
「大きい病院の医者という事で疑ってもいませんでした。
迂闊でした。申し訳ありません」
「謝る事はないですよ。雇ったのは私ですから」
「そうすると瑠璃様とお腹の子が危ないですね。医者ならなんとでも言って家から出せるでしょう」
「鷹をとばしましょう」

