……知りたい。


でも面と向かって聞くのは、なんていうか……失礼、だよね。


クラスメートなのに知らないとか、あたしだったら少なからずショック受けるもん。



うーん…どうしよう、と考えていると、ずいっと視界いっぱいに桜坂くんが映った。



「ぅっひゃあ!?あぁぅっ……」


「ふっ、何やってんだよ」


「び、びっくりして…痛いぃ……」



うぅ、とあたしは頭を押さえて体を丸める。


まさか、びっくりしすぎてひっくり返って頭をぶつけるなんてベタな展開になるなんて…


地味に痛い。


じわりと滲む視界の中に差し出された手。



「ほら」


「うぅ…ありがとう」



あたしはその手をとって体を起こした。



「大丈夫か?」


「…大丈夫。痛いけど」


「そっか」



ぽんぽんとまるで子供にするように桜坂くんはあたしの頭を撫でた。


手、大きくてあったかいな……



そっと目線をあげると桜坂くんと視線があった。




いつも、思う。


桜坂くんはかっこいいな、って。


背だって高いし、顔だってモデル並にかっこいいと思う。


でも、何よりもあたしが印象に残ったのはその瞳だった。


そらされることのない、真っ直ぐで綺麗な瞳。



「宗田、気になってる?」


「え?な、何が?」



にやり、と桜坂くんは少し意地悪そうに笑って言った。



「俺の名前」



………どうしてバレているんだ。


エスパーか、エスパーなのか!??



「顔にそう書いてある」


「うそっ!!」



あたしってそんなに分かりやすいのかな?



「やっぱり知らなかったか」


「う……ご、ごめんなさい」



そうだよね……クラスメートの名前覚えてないのはさすがに悪いよね。



「あ、や…責めてるとかじゃなくて……」



しゅん、となるあたしに桜坂くんは慌てたように言う。