ふっふっふっ…さぁ、どこからでもかかってこい!


そんなことを心の中で思いながらも、あたしは普段通りに振る舞う。
(真琴曰く、明らかに怪しかったらしいけど……)


そんなことに気を使うぐらいなら真面目に授業を受けろ、って意見が聞こえたのはきっと気のせい。



そして……ついにそのときがきた!!



「宗田ぁーー!!」



というお決まりの怒声とともに、先生の手から離れた白いチョークがあたしに向かってくる……


あたしはそれを避け……れない!!


無理!!


えっ、こんなにチョークって速かったっけ!?


うそぉ〜〜っ!!



と、チョークがあたしの方にくる数秒でそんなことを考えていたあたし。



こうなったら……!



あたしは咄嗟にペンケースを掴み、おでこに持っていく。


いつもおでこを狙っていることは確認済みなんだよ!


そして……



「やぁっ!!」



向かってくるチョークを思いっきり叩き落とした……はずだったんだけど



「………あれ?」



落ちたチョークの音がしない。


ペンケースに当たった感触はあった気がするんだけど……



「宗田……いい度胸だな」


「へ?」



顔をあげるとそこには少しおでこを赤くした、まるで般若のような顔をした先生が立っていた。



「ひぃっ……!」



悲鳴をあげたのは仕方のないことだと思う。



「せ、先生…どうしましたか〜?」



若干自分の頬が引きつっているのを感じながらも、あたしは笑顔を浮かべて先生を見る。



「宗田はどうしたんだと思うんだ?」


「あ、あはは……そういえばおでこが少し赤いですね〜……大丈夫ですか?」


「大丈夫に見えるか?」



冷静に返される先生の言葉にだらだらと背中に嫌な汗が流れる。



ここまできたら分かるよね。


そうです……あたしが叩き落としたと思ったチョークは見事に先生のおでこにクリーンヒットしたらしいです。