「……っ」 私はその黒塗りの高級車に乗っている人を確認した途端に方向転換し、元来た道を突っ走った。 やばいやばい。 とうとう見つかった。 ダンボールを探すのに夢中で気を抜いてたから、あの車が近づくのに気づかなかった。 あれ、絶対お父さんだ。 さすがは相馬グループ。 私の居場所なんて、すぐに見つけられる。 私はときどき後ろを振りむきながら、全力疾走した。 黒い車は信号が青になったとたん、私が走っている方向へ向かってきた。