「……ご迷惑をおかけして、どうもすみませんでした」
とりあえず謝っておこう。怒ってるし。
下げた頭を上げると、まだ苛立った瞳をしている岩崎悠大に睨まれた。
「ホントにそう思ってるなら、とーるのために一肌脱げる?」
「えっ?」
透琉くんのために?
「高山さんに許してもらえるよう、場を取り持ってあげてもいいよ。ただし、とーるの顔は見たくもないって言ってるから、君が代わりに事情を説明して謝りなよ。自分が無理言って、呼び出したんだって」
突拍子もない提案に耳を疑う。
私が、あの大物俳優の高山さんと会うの!?
畏れ多い!!
けど、それで透琉くんの汚名が晴れるんなら、願ってもないチャンスだ。
「本当ですか、是非、はいっ。誠心誠意、お話します!」
食いつきすぎたんだろうか。
跳びつかんばかりの勢いで答えると、岩崎悠大は少し腰を引いた。
そしてポケットから取り出した手帳を開いた。
「じゃあケー番教えて。セッティング出来たら、連絡する」
伝えた十一桁の番号をさらさらと控える岩崎悠大に、どうしても気になって尋ねた。
「あの、どうしてそんな、透琉くんのために岩崎さんが?」
「番組上の演出にしろ、僕が当てたボールでとーるが落ちたのは事実だからね。勿論わざとやったわけじゃないけど、責任感じてるよ。だから、せめてもの罪滅ぼし」

