彼はお笑い芸人さん



 いきなりの攻撃的な言葉に、頭が真っ白になる。

 えっ、何!?
 捨てられてる子犬とかけまして……なんと解けば!? その心は?

「同情してもいいですか? ですか?」

「えっ?」

 横長のアーモンド形の瞳を見開いて、岩崎悠大は唖然とした顔をした。

「君、いったい何言ってんの」

「す、すみませんっ……違いました!」

 捨てられてる子犬とかけまして、行き先が同じタクシーと解いてみたんだけども。
 大切りなんて、慣れないことはやるもんじゃないな。

 滑った後に自ら解説する度胸はないし。

 呆れたような溜息を吐いて、岩崎悠大が言った。

「君、ちゃんと自覚ある? 君のせいでとーるはバッシング浴びて、僕にまで飛び火して、超迷惑してんだけど。まあ僕は、とーると違って後ろ盾がでかいから、この程度じゃ仕事に響かないけど。とーるは、あの高山さんを怒らせちゃったから、今後の芸能活動に相当支障出ちゃうんだよ」

 怒り口調で捲くし立てられ、うっと息を呑んだ。
 こうもハッキリ言われるとキツイけど、事実だ。

 透琉くんもぐんちゃんも「別に大したことじゃない」と言うけれど、やっぱりそうなんだ。
「今後の芸能活動に相当支障出ちゃう」ほどの局面に、とーぐんは立たされている。私のせいで。

 そして、この人も……いや、
「とーると違って後ろ盾がでかいから」大丈夫なの、か。