結局、具合は悪化の一途を辿り、電車を降りたホームで一休みしてから、遠藤君に付き添ってもらって家まで帰った。
悪いという気持ちよりも、気分の悪さが勝ってて、なりふり構わずだ。
何とかアパートまで辿り着き、バッグから鍵を出すところまで、私の手となり足となってくれた遠藤君。
「あ…りがと……もう…大丈夫」
「ほんとですか? 薬とか食べるものは家にあります? 必要なものがあったら、ひとっ走りしてきますよ。何でも言ってください」
「大丈夫、家に……」
笑顔を作ろうとしたとき、ぐらっと視界が揺れた。
「……っ」
ばっと抱きとめてくれた長い腕が、そのまま私を持ち上げた。
浮かび上がるような感覚に身を任せ、そのままふっと意識が途切れた。