こっ、このスキンシップは如何に?

 心臓がドキドキと早鐘を打つ。きっと熱のせいだ。


「分かりますか?」

 瞳を覗き込まれて、慌てて手を引っ込めた。

「うん……熱い、かも」

「じゃあ、早く家に帰って、薬飲んで寝てください。それまで僕がついてますから」

「えっ、ううん、大丈夫っ」

 家まで送ってもらうなんて、悪い。
 遠藤君にも、……透琉くんにも。

 いくら連絡がつかないからと言って、透琉くんと約束をしている日に、他の男の子と長く一緒にいるのは、どうにも後ろめたい。
 キャンドルアート展を見るくらいならと思ったら、帰りも一緒だとは予想外の展開。

 さすがにこれ以上付き合ってもらうのは、ばつが悪い。


 と思ったのに。
 うげろ……気分が悪い。

 満員電車に揺られている間に、頭もぐらぐらしてきた。
 ちょっと吐き気もする。

「大丈夫ですか? 遠慮せず掴まってくださいね」

 密集した電車の中、遠藤くんが言った。
 立ち位置に気を遣ってくれているのが分かって、ありがたかった。