「間宮カズキ、キャンドルアート展」は大盛況だった。
客足が心配だと遠藤君はしきりに言っていたけれど、行ってみると遠くからでも目立つほど人だかりが出来ていた。
開催場所は「手作り家具の店」の倉庫。
くねくねと曲がった木のテーブルがまるで川のように一続きに設置され、その上にぎしりと並べられた大小取り取りのキャンドルが、ぼんやりと暖かい色を灯している。
揺らめく炎は、天の川のさざめき。
幻想的な眺めにうっとりしながら川の流れに沿って歩いていくと、キャンドルの数がまばらなスペースがあった。
「ここには、今日来た人がメッセージキャンドルを置けるようになってるんです。天の川をみんなで灯そうっていう、ロマンティックな演出で。キャンドルの売上げは、震災復興の寄付金にします」
まるでスタッフのように色々と説明してくれる遠藤君。
感心して見上げた横顔が思った以上に近くて、どきっとする。
「僕たちも灯しましょうよ。好きなキャンドル、選んでください」
壁際に設けられた飾り棚が、キャンドルの販売コーナーらしい。
そこにも人だかり。
並んで順番を待つ間にも、辺りの幻想的な装飾に見とれてしまう。
メインの天の川だけでなく、笹の木を模したキャンドルツリーがあったり。
これほどの火が灯されている光景は、生まれて初めて見る。圧倒的だ。
クリスマスどきの光のイルミネーションも綺麗だけれど、LEDとはまた違った美しさがある。
オレンジの温かい光が、ゆらゆらと揺らめく。闇にぼうっと浮かび上がって、異世界に誘われているような。頭もぼうっとしてくる。

