今日はやっぱりいい日だ。
 自分の気持ちを良く保てば、いい運気が巡ってくるのかもしれない。

 ちょっと苦手だなと思っていた遠藤君ともいい感じに話せたし、お土産まで貰って申し訳ないくらい。

 遠藤君セレクトのお土産は種類が沢山あって、「この中からお好きなもの二つまでお選びください」形式でユニークだった。
 タイ文字入りTシャツや、いかにもな象さん小銭入れ、蓮の花の形をしたキャンドルや、御香、ドライマンゴーやドリアンチップス、金ぴかの仏像とか。見てるだけで旅行気分で、休憩時間は楽しく盛り上がった。


「あのくらい、仕事にも力入れてくれりゃあいいんだけどなあ」

 斜め隣の席の、田川係長がボソリと呟いた。
 午後から営業回りに出て行った、遠藤君を見送っての一言。

 言いたいことは分かるけど、言うのもどうかなあという微妙な空気が漂う。

 遠藤君は、正直仕事がデキる。
 言われたことはソツなくこなすし、要領がいい。出身大学からしても、頭がいいのは分かる。

 空気も読めるし、優等生的。
 ただ、自分で決めた目標以上はやらないと決めている節がある。
 やればもっと出来るはずなのに、あえてやらない、頑張らない子。

 そこそこの会社に入って、そこそこのポジションでやっていければいいという、まさに悟り世代の申し子。

 別に、悪くはないと思う。