「そらもう自分ら、女の子らが寄ってきて困るやろ」
「とうとぐんは、リアルでどっちがモテんの?」
とーぐんのルックス人気に話題が及んだとき、嫌な流れだなと思った。
あくまでも「喋り」で勝負したいと、ずっと言ってきた透琉くんの意思に反して、人気の出たとーぐんは「顔売り」で弄られることが多い。
売り出す側はもうそれで行こうという路線で、ぐんちゃんは目的地に早く着けるならそれに乗ろうと言う。
「こっち」
二人揃って、お互いを指差す透琉くんとぐんちゃん。
「いやいやいや、ぐんちゃんでしょ。中学んときぐんちゃんファンクラブあったじゃん」
透琉くんが暴露する、初耳情報。
「中学でファンクラブ? すげえ、それマジでモテる奴じゃん」
司会の芸人さんが煽ると、ぐんちゃんが透琉くんに突っ込む。
「つかそれ、お前が作ったんだろ。お前こそ、バレンタインに紙袋いっぱいのチョコを……」
「お前から貰ったよな。ありがと、美味しかった」
演技がかった口調で、ぐんちゃんにとびきり笑顔を向ける透琉くんに、キャーと客席から黄色い声が上がる。
「お前ら、その路線あかんぞ。ズルいわ」
周りの芸人さんたちがブーブー言って、さらに笑いを誘う。
というところまでは、まだ私も笑って観ていた。
「そう言うアラさんも、とーぐんで女の子釣って、合コンしてるじゃないっすか」
とある芸人さんが発した一言に、えっと耳を疑った。