「ていうか、ぐんちゃん何言いかけたの? 透琉くんのキャラが、実は……って」
すごい気になるんですが。
「ああ……」
透琉くんがまたブラ男チョップを構えるのを見て、ぐんちゃんは疲れたような顔をした。
「何でもないです。まあ結果良ければ、全て良しってことで。幸せそうで何より。裏山です」
言うほど羨ましそうでもなさげに、ぐんちゃんは力なく微笑んだ。
透琉くんが私と付き合うことに、というか、透琉くんに彼女ができることを、ぐんちゃんがあまり快く思っていなかったことは薄々知っている。
尾崎群司、とーぐんのツッコミ担当。
クールな美形で、インテリぶった眼鏡は実は伊達。
実は視力はめちゃめちゃ良くて、学生時代は野球部。肘の故障で甲子園を諦め、お笑い界の甲子園を目指して、幼馴染みと漫才コンビを結成。
ストイックな性格で、「欲しがりません、勝つまでは」を地でいっている。
だから、「あれも欲しい、これも欲しい。勝とうが負けようが、欲しいものは欲しい」の透琉くんとは根本的にズレがある。
ズレはあるけど、ウマが合わないわけではない。仲はいい。
透琉くんにないものをぐんちゃんが持っていて、ぐんちゃんにないものを透琉くんが持っている。
お互いにお互いを補って、二人揃っての良さがある。これぞコンビって感じなのだ。
仲はいいけど、喧嘩はよくする。喧嘩をするほど、仲がいい。
特に透琉くんとぐんちゃんは、友達という関係以上に、同じ夢に向かって歩むパートナーだから、相手に求めるものも大きいのだと思う。
切っても切れない、二人の絆が羨ましい。
私がどう逆立ちしても、ぐんちゃんにはとても敵わない。