心臓がバクバク跳ねる。

 何今の、何だったの!? 課長、ご乱心!?
 こちとら半ば放心状態だ。

“好きな女性のタイプ。ちょっと抜けてるドジな娘かな。部下にはしたくないタイプ”

 あれって、告白!?
 それにしても……あんまり嬉しくないよー!

 好きなタイプと言われた嬉しさよりも、「部下にはしたくない」という言葉にショックを覚える。
 したくなかろうが、私は課長の部下だ。
 部下として、認められたいのに。

 自分の無能さが、つくづく悔しい。

 それに特に今日は、全てが空回りな気分。

 早く終わらせたくて、仕事を家に持ち帰った結果、余計に時間がかかって、課長に迷惑かけて。
 課長ともっと打ち解けたくて、思い切ってプライベートな話題に踏み込んでみた結果、地雷を踏んだような衝撃を受けて。
 もうへろへろだ。

 本当なら今頃、とっくに家に帰っていて、万全の状況でテレビの前、スタンバっているはずだったのに。

 そうだ――今何時?
 どれだけ走っても、もうその予定に間に合わないことは確実だ。

 なら、もう止まってここで観よう。

 丁度、待ち合わせスポットであるショッピングビル前に差し掛かり、待ち合わせのふりをして立ち止まり、バッグからスマホを取り出した。

 時刻は21:47分。
 あと、13分――ぎりぎりセーフ!!

 ええ~と、フルセグ、フルセグ……