彼はお笑い芸人さん


「えっ、……あ、それは……」

 はっとした。

 データを起こす集計表には、確かにksという型番では載っていなかった。kuという登録のない型番がついていたのだ。
 商品名から判断して、ksの間違いだろうと思って、勝手にksに置換えしてしまった。

「集計表の方が違っているのかと思いまして……現在の型番に合わせてしまいました。kuの他に、kgっていうのもあったんですけど……それも旧シリーズってことですか?」

「自分で判断できないんだよな? なら聞けよ、その都度いちいち聞け。報告・連絡・相談の『ほうれんそう』が大事だって、入社したとき習わなかったか?」

 呆れたような溜め息と共に、冷ややかな眼差しが向けられる。

「小西さん、何年目? もう新人でもないだろ」

「……はい、申し訳ございません」

 確かに判断に迷って、聞こうかとは思ったんだ。
 けど、聞きづらいと思う気持ちが先に立ってしまった。

 相手が課長じゃなければ、多分聞いていた。英課長が苦手だ、話しかけづらいと苦手意識を抱いていたために、大事な「ほうれんそう」を怠ってしまった。

 今日は本当に駄目駄目だ。
 忘れ物はするし、ミス続き。

 いや、今までもこのくらいの失敗は平然としてきたような気がする。
 ただ、今まではそれほど咎められずに済んできただけだ。

 緩い社風に緩い上司。
 それに慣れていたから、英課長に咎められて初めて、重大な過失だと思い知った今日。


「そんなに俺のこと、苦手?」

 投げかけられた言葉に、俯けていた顔を上げた。