「来週の水曜」と聞いて、真っ先によぎったのはぐんちゃんの「伝言」だ。
“来週の『笑イト』、絶対観て”
笑イト――「笑って愛しい人」の放送枠は、毎週水曜日の午後十時。
食事して帰っても、遅くならなければ、間に合うとは思うけれど。
「ごめん、来週の水曜は都合悪くって。他の曜日か、再来週の水曜はどうかなあ?」
時間が気になって気になって、そわそわしちゃうのも遠藤君に失礼だし。
うっかり遅くなって、観れなくなっても悔やまれる。
勿論その日は、録画予約をバッチリしてから、家を出る予定だけれど。
やっぱりせっかくの生放送は、生で観たい。
「もしかして、彼氏できました? 今、すっごい躊躇しませんでした? 僕と食事行くの」
遠藤君が気兼ねなく突っこんでくる。
「できてないよ。遠藤君と食事行くの、楽しみだよ。けど、その日はホントに都合悪いの……すっごく観たいテレビ番組があるから」
並べたマグカップに順々に、急須のお茶を注ぎながら、素直に告げる。
遠藤君との付き合いも、もう一年以上になる。わりと何でも思ったことを言える、気兼ねない関係だ。
透琉くんとのことを知っている、唯一の友人ということもあって。
「それって、笑イトですか?」
どこか呆れたような色を浮かべて、遠藤君が言った。
「録画して観れば、良くないです?」
「録画も勿論するけど、リアルタイムでも観たいの。だって、来週は生放送だもん」

